錆びれたキャバクラ「ロンドン」の控え室、客も従業員もモチベーションゼロのその店で、支配人土肥の生き甲斐は深夜のラジオ番組を聞く事だった。「内藤ナナコのワナナイナイト」妨害電波の合間を縫って届く超人気番組。しかしその日のロンドンは、どこか何かがおかしかった…。キャバ嬢達のストライキ、従業員の気になる態度、招かざる客とメールの嵐…。電波とチャットで綴られる、DJとリスナーのくだらないやり取りが迫りくる世界の危機を救う事になろうとは、誰も予想していなかったであろう、あの男以外は…。ホチキス秋のツアーは、半密室と化した、ビルの中での物語。
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ワンシチュエーションの物語が好きで、過去の作品でも何本かあるのだが、今回もなんとなく1つのシチュエーションから出れない人々の話が書きたいと思っていた。しかし、今回はツアー2会場の大きさに差がありすぎて、舞台装置の制作に問題が出た。だから一つのシチュエーションはできない。めくるめくシーンが変わっていく、どちらかといえば、テレビ的な物語にする事にした。書いていくうちに、なんだかアメリカのTVドラマ「24」の進行具合に似てきて、これは面白い物になるなと確信。しかし、24もヒットしたので、ちょっとイヤだった。
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